ケーススタディ

紙ベースの経費精算から支出状況のリアルタイム可視化へ:再生可能エネルギー企業の経費管理改革

2026年10月14日•by YCP Supply Chain
Energy & Natural Resources

フィリピンの大手再生可能エネルギー企業では、従業員の経費精算を主に手作業で処理していました。紙の領収書を用いた申請、十分に整備されていない業務フロー、経費精算の進捗状況を把握しにくいことなどが、承認や精算の遅延を招き、従業員と財務部門の事務負担を増大させていました。

また、法人単位やプロジェクト単位での支出状況をリアルタイムに把握する仕組みも整っておらず、経費を一貫した方法で管理し、支出データを迅速な経営判断に活用することが困難でした。

こうした課題を受け、同社はYCPに対し、既存の人事・財務システムとの連携を通じた経費管理プロセスのデジタル化を依頼しました。これにより、経費管理の自動化と透明性を高め、経費精算の迅速化と支出管理の強化を図ることを目指しました。

課題

従来の経費管理プロセスは手作業に大きく依存しており、組織全体の業務効率を低下させ、経費管理の透明性を損なっていました。

  • 経費申請の手作業による負担:整備が不十分な手作業中心の仕組みで紙の領収書を提出する必要があり、事務負担が大きく、処理にも時間を要していました。

  • 精算の遅延:経費申請から承認、精算に至るプロセス全体の可視性が低く、各段階の進捗を追跡しにくいため、精算の遅れにつながっていました。

  • 支出状況の可視性不足:法人単位・プロジェクト単位で支出状況を可視化する仕組みがなく、どこで支出が発生しているのかを把握することが困難でした。

  • リアルタイム分析の欠如:経費データを適時に把握できず、支出のモニタリングや、データに基づく経営判断が制約されていました。

再生可能エネルギー事業の拡大が続く中、こうした制約を解消するため、デジタル化とシステム連携を実現する経費管理ソリューションの重要性が高まっていました。求められていたのは、単に申請書類をデジタル化することではなく、従業員情報、経費情報、財務データをプロセス全体で連携させることでした。

アプローチ

YCPは、既存の人事・財務システムとの連携と業務フローのカスタマイズを軸に、経費管理プロセスの変革を推進しました。

経費管理と人事システムの連携

経費管理プラットフォームをWorkdayと連携させ、従業員データと組織階層情報をシームレスに同期できるようにしました。これにより、従業員の経費精算業務を管理するためのシステム連携基盤を整備するとともに、データの手動更新に伴う負担を軽減しました。

経費管理と財務システムの連携

さらに、プラットフォームをSAP FICOと連携させ、会計データの照合と財務レポーティングの効率化を図りました。経費取引を同社の財務プロセスと結び付けることで、後続の照合作業やレポーティングをより効率的に進められるようにしました。

CTC(従業員報酬関連)関連経費に対応する業務フローのカスタマイズ

すべての経費が同一のプロセスに従うわけではないことを踏まえ、CTC関連経費に対応する専用の業務フローを設計しました。これにより、すべての取引を単一の標準フローに当てはめることなく、経費の種類に応じた要件に対応できるようにしました。

法人カードとの連携

法人カードとの連携を実現し、取引データの直接取り込みと照合を可能にしました。これにより、対象となる取引について、手作業による経費申請を減らし、取引データの取り込みから会計データとの照合までのプロセスを効率化しました。

統合的な経費管理基盤の構築

これらの連携を通じて、従業員情報、経費精算プロセス、法人カードの取引データ、財務システムを相互につなぐ経費管理基盤を構築しました。

一連の変革では、手作業を削減するとともに、人事・財務部門間の情報連携を改善することに重点を置きました。これにより、処理の迅速化と支出状況の可視化に向けた基盤を整備しました。

効果

経費管理のデジタル化により、申請・承認から精算、照合、レポーティングに至るまで、経費管理プロセス全体の改善を実現しました。

経費管理プラットフォームをWorkdayおよびSAP FICOと連携させることで、人事・財務システムとのデータ連携を強化しました。さらに、法人カードとの連携により取引データの直接取り込みと照合を可能にし、業務フローのカスタマイズによってCTC関連経費の個別要件にも対応しました。

また、法人単位・プロジェクト単位の支出状況をリアルタイムに把握できるようになり、財務管理や経営判断に必要な情報をより迅速に得られるようになりました。

主な成果CS_-_Renewable_Energy_JP.png

成果

経費管理プロセスのデジタル化により、同社は紙と手作業に依存した経費精算から、より統合的で透明性の高いデジタルプロセスへと移行しました。

WorkdayおよびSAP FICOとのシステム連携に、業務フローのカスタマイズと法人カード連携を組み合わせることで、従業員、人事部門、財務部門の間で経費情報をより円滑に共有できるようになりました。

その結果、経費処理の迅速化、照合機能の強化、法人単位・プロジェクト単位の支出状況のリアルタイム可視化を実現しました。これにより、経費管理業務の効率が向上し、より的確な経営判断と従業員の生産性向上を支える環境が整いました。