ケーススタディ

繊維廃材の価値を最大化:産業用繊維の販売価格を27%以上向上

2026年10月15日•by YCP Supply Chain
Consumer & Retail

化学品、産業用繊維、包装用フィルムなどの分野でグローバルに事業を展開するインドの大手複合企業では、品質が基準に満たない糸廃材(Yarn Waste)とタイヤコード織物(Tyre Cord Fabric)の2つの材料カテゴリーについて、販売価値を十分に引き出せていないことが課題となっていました。これらの材料には商業的な利用価値が残されていたものの、品質のばらつきや異物の混入、複雑なリサイクル工程が再利用を難しくし、購入を希望する事業者も限られていました。

さらに、世界のスクラップ市場の動向に伴う需要や価格の変動が、課題を一層複雑にしていました。売り手間の激しい競争によって販売価格に下押し圧力がかかる一方、輸送費や保管費も負担となっており、材料の価値を維持するには、効率的な輸送と適時の売却・処分が重要でした。

こうした課題に対し、YCPは市場調査、体系的な価格評価、買い手の参加拡大、オークション方式による販売、物流調整の改善を組み合わせ、販売・処分プロセスを再設計しました。その結果、買い手間の競争と取引の透明性が高まり、販売価格を27%以上向上させることに成功しました。

課題

  • 品質・加工上の制約:タイヤコード織物や繊維廃材には品質のばらつきがあり、油、ゴム、その他の異物が混入していたため、再利用の可能性が制限され、買い手の関心も低下していました。

  • 複雑なリサイクル要件:リサイクルに高いコストがかかることから、材料の商品価値が低下し、購入を検討する事業者も限られていました。

  • 市場・価格の変動:世界のスクラップ市場の動向に伴う需要や価格の変動により、実現可能な販売価格を見極めることが困難でした。

  • 売り手間の競争:売り手間の激しい競争によって販売価格や利益率に下押し圧力がかかっていました。

  • 高額な輸送・保管コスト:材料の品質を維持するために輸送費や保管費が増加しており、販売価値を最大化するには、効率的な輸送・移動が重要でした。

  • 買い手の不足:特定のグレードのタイヤコード織物や繊維廃材は購入可能な事業者が限られており、競争入札の機会も制約されていました。

アプローチ

市場分析と販売戦略の策定

YCPは、需要動向、価格の推移、買い手の構成を把握するため、詳細な市場分析を実施しました。対象となる材料の市場環境を明らかにし、より的確で競争力の高い販売戦略を策定するための基盤を整えました。

買い手の参加促進

購入意欲の高い買い手の参加を促すため、保証金制度を導入しました。実際に購入する意思のある事業者を集めることで、入札参加者の質を高めました。

価格評価プロセスの標準化

正式な見積依頼(RFQ)プロセスを導入し、販売価格の確認・評価方法を標準化しました。買い手から提示される価格条件を共通の基準で比較できるようにし、価格評価の透明性を高めました。

買い手ネットワークの拡大

取引のある顧客数を25社から45社へと80%拡大し、買い手間の競争を促進しました。購入希望者間の競争を強め、より有利な販売価格を引き出せる環境を整えました。

オークション方式による販売の導入

品質が基準に満たない材料の販売にオークション方式を導入し、価格決定プロセスの透明性を高めるとともに、買い手間の競争を通じて、より高い販売価格の実現を図りました。

物流・売却プロセスの最適化

複数の拠点における車両手配を効率化するとともに、物流面での調整や売却・処分までのスケジュールを改善しました。材料の輸送・移動を円滑にし、販売価値の最大化を支援しました。

効果

今回の取り組みでは、市場動向の把握、買い手ネットワークの拡大、競争力のある価格決定プロセスを組み合わせることで、繊維廃材とタイヤコード織物の販売条件を改善しました。その結果、販売価格が27%以上向上するとともに、取引のある顧客数も80%増加しました。

また、正式な見積依頼(RFQ)とオークション方式の導入によって、販売プロセスの標準化と透明性向上を実現しました。物流調整や売却・処分までの期間を改善したことで、材料の効率的な輸送・移動が可能になり、これまで市場面・業務面での制約が大きかった材料から、より高い価値を引き出せるようになりました。

主な成果

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総括

今回の取り組みにより、従来コスト増加の要因となっていた品質が基準に満たない繊維廃材やタイヤコード織物を、より高い販売価値を生み出せる材料として活用できるようになりました。また、買い手ネットワークの拡大と正式な見積依頼(RFQ)やオークション方式の導入によって、買い手間の競争を促進し、価格決定プロセスの透明性を高めました。さらに、物流面での調整を改善することで、売却・処分の遅延を減らし、材料の輸送・移動を効率化しました。

こうした一連の取り組みを通じて、販売価格の向上を実現するとともに、品質が基準に満たない材料の販売価値を高めるための、より体系的で拡張性の高い販売プロセスを構築しました。

出典:YCP Supply Chain ケーススタディ「Turning sub-standard categories (Yarn Waste and Tyre Cord Fabric) from cost leakage into a source of value」